広島テレビ局の一次書類審査の課題「常識と非常識」・・不合格

某テレビ局の第一次書類審査のテーマでした。
 

 
 現在の「情報科学」の分野において「常識をもった非常識な論理学者」と呼ばれた天才が存在した。
その名を「ジョン・マッカーシー」と言う。
 

 
 Apple IIとMacintoshを世に出したスティーブ・ジョブズや、
マイクロソフトを率いるビル・ゲイツに比べると、マッカーシーはぐっと地味で
日本ではあまり知られていない。
 

 
 しかし彼ほどコンピュータの本質を理解し、
その可能性をひろげることに成功した学者はそう見当たらないのである。
 

 
 マッカーシーが世の中に送り出したものは大きく三つある。
まず第一に「人工知能」が挙げられる。
 

 
 マッカーシーはコンピュータにチェスをさせ、
人工知能用言語「Lisp」を開発した。
有名な「Artificial Intelligence(AI)」は彼の造語である。
 

 
 驚くべきは、それを1950年代に行っているということである。>
なぜなら当時はコンピュータがまだ真空管でつくられており、ろくに動いていなかった。
 

 
 1979年、マッカーシーは最終的に「人工知能の思想的および技術的発展の歴史」を
一冊の本「Machines Who Think ~考える機械~」にまとめた。
現在の常識である無機物の「Machine」に対して、
彼は大胆にも関係代名詞「Who」を利用したのである。
 

 
 第二は、TSS (Time Sharing System) である。
マッカーシーが提唱したこの概念を受けて、MITではMulticsプロジェクトが組織された。
Multicsプロジェクトは、いわばコンピュータ中心主義から人間中心主義への
転換を目的としたプロジェクトである。
 

 
 TSS技術を確立したMulticsの成果で、
一人ひとりのユーザーがキーボードと画面に向き合い、
直接コンピュータとコミュニケーションをとりながら操作するという
現在のスタイルとなった。
 

 
 そして第三は、ハッカー(hacker)たちである。
1960年代のMITでコンピュータに触れた若者たちは、
自由にコンピュータとつきあいたがった。
 

 
 杓子定規に規則を適用し、電子計算機室に若者が立ち入るのを禁じたがる
「大人」が多いなかで、マッカーシーは学生のコンピュータいじりを黙認したこと
でも知られている。そしてここから、1970年代
のパーソナルコンピュータ革命を担う人材が巣立っていったのである。
 

 
 「非常識こそ世の中の新たな常識を見出す鍵である」、
マッカーシーは現在なお「人工知能」研究で多くの実績を挙げている。
 

 
 彼の正しい理解と的確な技術に裏付けされたその「想像力」には敬服せざるを得ない。
 

 
 かくして彼は「計算機」を「メディア」にまで昇格させた第一人者となったのだが、
「情報科学」の研究は21世紀に来て大きな転換を求められている。
 

 
一刻も早く新しい「論理を持つ非常識人」の登場が期待されている。
 

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