「課題」とは何?(問題・施策との違いとイシューの関係)

「大企業病」という言葉を知ってますか?

一般的な説明は次のとおりです。

保守的で新しいことが前に進まない状態や、自分の縄張り意識が強すぎて客のことを考える前に社内抗争に明け暮れている状態、意思決定に非常に時間がかかる状態など、一般的に大企業で見られがちな傾向を総称したもの

私の所属する組織は、まさに大企業病に侵された典型です。

 

 

ダイバーシティが求められ多くの人が働く組織において、価値観や業務内容が異なるのは当たり前です。

そのような組織で自分自身の提案を通す為の武器がこれです。
 

 

「ロジカル・シンキング(論理的思考)」

 

 

 
 

何を今更、と思われるかもしれません。

実際に私もそう思ってました。

なぜなら、新人研修で多くの人が学びます。書籍もセミナーも多数あります。

ですが、学歴や役職、年齢、性別、国籍を問わず多くの人が課題解決型の提案プレゼンで承認をもらえません。

でもその理由に、これまた多くの人が気づいてません。

 

 

このため、

 
「自分の提案は完璧なのに、上長は馬鹿だ。やる気なくなった。」

「言わないとやらない、言ってもやらない。駄目だこの組織。」

 
と、自分自身の「何」が足りなかったのに気づかずに、理解を示さない上司に問題があると思いがちです。

 

 

[2020.8.2追記] 続きを執筆しました。

「課題」とは何か?(「シズル感」との共通性を感覚的に理解する)
前回までのあらすじ。「課題は何か?」「論点は何か?」「イシューは何か?」色々な言い方がありますが、ビジネスシーンで上記の質問された時は解決すべき真の原因(真因)は何か?と聞...
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「課題」が「課題」になってない?

 

 

「課題と問題は違う(怒」

「課題が施策になっている(怒」

「それは課題じゃない(怒」

 

 

プレゼン文化を持った事業部で、よく先輩・上司が部下・後輩にいうコメントです。
 

 

これを初めて言われた社員は、
 

「何を言っているのか?何を怒られているのか?」
 

が理解できません。
 

 

 

 

とりあえず、話を先に進めて良いですか?

 
 

と無理やり続けようとしますが、多くの場合、許可してくれません。

 

 

あるある光景ですが、ロジカルシンキングを学んだにも関わらず、なぜこのような事が起きるのでしょうか?

少し考えてみます。

まずは「問題」と「課題」の違いについて考える

国語辞典で調べてみる

国語辞典(デジタル大辞泉)で調べてみました。
 

 

問題:解決すべき事柄。課題
課題:解決しなければならない問題。果たすべき仕事

 

 
・・・・。
 

 

同じ意味だよね・・・。

 

 

次に英語で考える

ビジネスの意識高い系は、英語で語るのが大好きなので英語で考えてみます。
 

 
パッと思いつく「問題」に関する単語は

「Problem」
「Issue」

です。

 
アルク辞書で意味を調べてみます。

Problem:
〔答えるべき〕問題、課題
〔困難・害・迷惑を及ぼす解決されるべき〕問題

Issue:
〔議論すべき〕重要な話題[問題]、問題点、論点、争点

 
・・・。

 
また、かの名著「イシューからはじめよ(Issue Driven)」のなかでイシュー(Issue)を次のように記載しています。

イシューからはじめよ ― 知的生産の「シンプルな本質」

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イシューとは「問題解決するための課題

 
・・・。

 

やっぱり同じ意味だよね・・・。

 

 

・・・もう何が何だか分かりません。

次に「課題」と「施策」の違いについて考える

辞書より、ネット上で紹介されている用例を見た方が早そうです。

「課題 問題 違い」で検索して最初にヒットした例を紹介します。

例)レストランの集客

「問題」と「課題」はどう違う? – ビジネス例で解説【ビジネス用語】より

レストランの集客
「目標」:一日の来客数300名を目指す。
「現状」:一日の来客数は200名程度である。
「問題」:目標よりも100名ほど少ない。
「課題」:DMの配布エリアを拡大する。新メニューを考案する。

 

 

・・・?

 

 

これは「課題」が「施策」になっている典型例です。

 

 

そもそも「施策」が載ってない・・・。

 

 

一日の来客数を今より50%向上させないといけません。

生半可なやり方ではうまくいかないでしょう。

 

「DMの配布エリアを拡大」「新メニューを考案する」ことで、来客数が100名増える根拠は何でしょうか?

 
 

この事例では「問題の真の原因(真因)」まで深堀りしていません。

これでは、「課題」を導くことはできません。

 

上記の例を修正するなら次のようになります。

「目標」:一日の来客数300名を目指す
「現状」:一日の来客数は200名程度である
「問題」:目標よりも100名ほど少ない
「課題」:(今は書けない)
「施策」:「目標よりも100名ほど少ない原因」の深堀り

 

が、こんな事を説明する資料を作る時間があるなら、原因分析を早く実施すべきです。

 

結局「課題」とは何か?

結論からいうと、言葉の定義は人によって異なります。

このため、組織としての「言葉の定義」を行い、共通認識を持たせる必要があるでしょう。

 
 

ただし、一般的にビジネスシーンにおける「課題」という言葉の意味は、明確に「問題」「施策」とは異なっています。
 

「課題は何?」

 

と指摘された際には
 

「イシューは何?」

 

と質問されていると考えるのがよいでしょう。  

なぜなら「イシュー」の意味はMBA用語集に次のように明確に定義されています。

 

◎一般的な用語としてのイシューの意味
「論点」「課題」「問題」

◎クリティカル・シンキングとしてのイシューの意味
論理を構造化する際に、その場で「何を考え、論じるべきか」を指す

 

 

ここで「クリティカル・シンキング」とは、英語で「Critical Thinking」、日本語にすると「批判的思考」です。

[引用] 【分かりやすい】ロジカル・シンキングとは?身につける方法&おすすめ入門書

 

日本の書籍を読む限り「ロジカルシンキング」と「クリティカルシンキング」は異なります。

思考方法 具体的内容 手法
ロジカル・シンキング 問題解決にあたり、情報を分類・整理して分かりやすく論理的に解決策を検討すること MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)、ロジックツリー
クリティカル・シンキング 課題を見つける能力。「そもそもの前提が正しいのか、他に考えられることはないのか」と、問題解決に向けて、より掘り下げて検討していくもの ビジネスブローアップ、なぜなぜ分析、So-What分析、80対20の法則

 

ロジカルシンキングには「考えるべき課題が何かを明らかにする」という部分が前提としてありません。

したがって「課題設定」を間違うと、論理的には正しくても「間違った結論」が導き出されます。

※ 5why、なぜなぜ分析というのは問題解決をしてみるように見えるのでロジカル・シンキング本で紹介されていますが、真の原因を探すことが目的です。

 

ただし、両者は必ずしも全く別の思考法ということではありません。
 

クリティカルに考えてロジカルに説明する

 

というように、両方を合わせて使うことで、相手を納得させられる結論を導くことができます。

 
 

 

中には、

「クリティカルシンキングなんて知らねーよ。有名なの?」

 
 

と思われる人がいるかもしれません。

その場合、こちらのデータを見てください。

 
 
2016年1月に世界経済フォーラムが発表したアニュアルレポートでは、2020年に必要なスキルのランキングトップ10が発表されています。

〈表〉2020年に必要とされるスキル

順位 スキル
1 複雑な問題解決力 (Complex Problem Solving)
2 クリティカルシンキング (Critical Thinking)
3 創造力 (Creativity)
4 マネジメント力 (People Management)
5 人間関係調整力 (Coordinating with Others)
6 情緒的知性 (Emotional Intelligence)
7 決断力 (Judgement and Decision Making)
8 サービスディレクション力 (Service Orientation)
9 交渉力 (Negotiation)
10 認識の柔軟性 (Cognitive Flexibility)

 

「クリティカルシンキング」は2番目に必要とされるスキルです。

ちなみに「ロジカルシンキング」は含まれていません。

 
 

実は「ロジカルシンキング」は和製英語です。

 
 

「ロジカルシンキング」の事を英語で「クリティカルシンキング」と言います。

なので本来は別々に扱うものでは無いですが、日本では異なる意味として定義されてます。

 
 

以上のことをまとめると次のようになります。

ここまでのまとめ

上記で説明したように、
 
 

課題(イシュー)にたどり着く

 
 

事はとても難しいことです。

理由の一つとして深堀りが足りません。

要するに、真因にたどり着けていません。

辿り着くべきは、現場、マネジメント、顧客・・・すべての考えうるステークホルダーを考慮した「それを解決すればあるべき姿にたどり着ける根本原因」です。

 
 

課題(イシュー)の特定が見当はずれでは、どんなに精緻に論理を組み立てても意味がありません

 
 
 

追伸)
 

課題を特定しを論理的に説明しても、

  • で、具体的に何がよくなるの?(目に見えるアウトプットは何?)
  • 何をもって良くなったと言えるの?(KPI、KGI、OKR)
  • で、いつまでに?(計画)

 
 

が無ければ、「説明がフワッとしている」と一蹴(ISSUE)されて終わりですので注意してください。
 
 

・・・私の事ですが。
 
 

【今日の格言】
イシュー(課題)ではじめて、イシュー(一蹴)でおわるな

 
 

Ω\ζ°)チーン

 
 

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