日本社会では、集団の調和を重んじる傾向があるため、個人が「やりたくない」と思っても従わざるを得ない空気が生まれることがある。
朝・昼・夕の毎食時に「いただきます」。
声に出して言う人は35%。

1980年頃に結婚してから「食事のあいさつしない夫」に不平不満がある女性もいる。

「いただきます」という挨拶は「日本語独自のものである」と言われている。
この夫が幼少は海外生活していたのかもしれないし、感謝の強要は賛同しかねる。
1983年から始められた国立民族学博物館の共同研究
現代日本における家庭と食卓 ── 銘々膳からチャブ台へ ──
では、当時70歳以上(1913年前後以前の生まれ)の計284人(女性259人、男性25人)にアンケートを行っており、貴重な証言を得ている。
これによれば、
若かった時代は「いただきます」は一般的ではなかった
ことが分かった。
民俗学者の柳田國男も1946年の著書「毎日の言葉 (創元選書)」のなかで「いただきます」が近頃普及したものだと言及している。

食前の挨拶「いただきます」の発声がいつ頃始まったか関しては定かでない。
Wikipediaに書かれている古い文献は次の通り。
- 1934年(昭和9年) 「御飯はいただきますで始め、ごちそうさまで終わりましょう。」
- 1937年(昭和12年) 「(前略) お膳の前へ坐ると、頂きますとお辞儀をするし、お終いになると、御馳走さまといったり (後略)」
- 1939年(昭和14年) 「そして、その一味の婆さんが一緒に弁当をたべるとき、きっと私に向っていただきます、とあいさつをしたという世にも滑稽な話。」
この情報より古い書物を調査してみる。
【1928年(昭和3年)】仏教幼児用教案
昭和初期の日本では、幼稚園で仏教教育は一般的だった。その教案に一文を見つけた。
- 【著者】内山憲堂 著
- 【出版者】甲子社書房
- 【出版年月日】昭和3
御飯の時に「いただきます」と御礼をいって食べますか

【1927年(昭和2年)】綴り方指導体系 尋常科第4学年
小学校4年生向けの作文指導に関する教科書に次の一文を見つけた。
- 【著者】田上新吉 著
- 【出版者】目黒書店
- 【出版年月日】昭和2
いつの間にかちやわんを持つてゐた。「いただきます」僕は知らぬ間にかういつて、ごはんをたべてゐた。

【1914年(大正3年)】作法教授の実際 : 国定修身書及作法要項準拠
小学校向けの礼儀作法や社会的な振る舞い方を教える教育指導書にも次の一文があった。
- 【著者】三好得恵 等著
- 【出版者】目黒書店
- 【出版年月日】大正3
食事の作法
2.食事の始移には挨拶をなすべく、食事中には特に容儀を亂さざること。
此の際には單に禮のみをなすか又は「いただきます」と挨拶することを可とす。【現代訳】
食事の開始時には挨拶をするべきであり、食事中には特に態度を乱さないこと。
この際、単に礼(お辞儀など)をするか、あるいは『いただきます』と挨拶することが適切である。

【1907年(明治40年)】布教大資林 : 仏教各宗
食事作法に関する仏教的指導書にも一文を見つけた。
- 【著者】田淵静縁 編
- 【出版者】法蔵館
- 【出版年月日】明40.11
食事の時になると、又膳の前に之をすへてたれまたよ「いたゞきます」と御禮を陳べる

おわりに
明治時代まで戻ることはできたが、どうも仏教教育からの強要っぽい。
因みに、浄土真宗本願寺派仏教壮年会連盟によると、2010年(平成22年)1月1日から食前・食後のことばが新しくなったらしい。
多くのいのちと、みなさまのおかげにより、このごちそうをめぐまれました。
深くご恩を喜び、ありがたくいただきます。

言葉が変わるって意味不明。釈迦の教えを日本人が現代風にアレンジしたということ?
そもそも他の仏教国(インド、タイ、中国など)では、存在しない文化だよ?
やっぱり言う必要ないんじゃないかな。









