ロジカル・シンキングとクリティカル・シンキングとラテラル・シンキングの違い

「ロジカル・シンキング(論理的思考法)」の書籍は

 

結論に対して論理的に十分な理由が説明されている状態

 

にするために「ロジックツリー」や「MECE」を説明しているものの、

 

そもそも「真因(本当に解かなければならない最上流の原因)」にたどり着けないまま「課題(イシュー)」を定義している

 

感がして読まなくなった。

 

そのモヤモヤ感を解消してくれたのが「クリティカル・シンキング(批判的思考)」。

 

手法としては「なぜなぜ分析」等を用いて「物事の本質を見極め、論理的に思考する」ことを目的とする。

まとめると次のように理解している。でも「ロジカル・シンキング」は和製英語なので両方あって論理的と言えると思ってる。

このあたりの話は過去にも何度もしている。

「課題」とは何?(問題・施策との違いとイシューの関係)
「大企業病」という言葉を知ってますか?一般的な説明は次のとおりです。保守的で新しいことが前に進まない状態や、自分の縄張り意識が強すぎて客のことを考える前に社内抗争に明け暮れている状態、意思決定に非常に時間がかかる状態など...

社内で「アクセンチュアの戦略コンサルタント」を数億払って契約した際に、30分だけお時間を割いて頂きアドバイスを頂戴した。

その際に数冊の書籍を紹介して頂いたのが次の「問題解決プロフェッショナル」であり、何度も読み返した。

新版 問題解決プロフェッショナル

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齋藤 嘉則
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この書籍に次のような例題が記載されている。

AさんとBさんの前にケーキが1つある。2人とも納得するように2つに分けたい。さて、どのように分けたら良いだろうか?

重要な点は「正確に二等分すること」は論点(本質)ではなく、大切なのは二人が納得するようにという部分。

ようするに厳密に二等分されていなくてもよくて「どうしたら納得できるか?」というのが解くべき課題だ。

よって、模範解答は

ジャンケンで勝った方が好きな大きさに分けてね。負けた方は選んでいいよ。

となる、と書いてある。

 

これ「課題発見」までは良いけど、「施策案」がぶっ飛んでんでない?

急に多湖輝の「頭の体操」的な発想力が求められてるよ……。

頭の体操 BEST

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多湖 輝
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同じく漫画家の発想力・アイデア力にも脱帽したので、記事にしたことがある。

「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。」から学ぶ問題解決の手順
千葉市には懸垂型モノレールとして営業距離世界最長を誇る「千葉モノレール」が走っている。モノレールの車両のデザインは実に豊富で、このような痛車も走ってる。土日に乗車すると声優の声で各駅の説明アナ...

この思考方法を「クリエイティブ・シンキング(創造的思考)」と呼ぶらしい。

この事を知って、胸のモヤモヤ感が減った……気がするが、まだ何か足りないので深掘りしてみる。

5種類のクリエイティブ・シンキング(創造的思考)法

クリエイティブ・シンキング(創造的思考)とは「自由に連想し、既存枠組みから離れて考えるカ」だが、それにも5種類の思考方法があるそうだ。

創造的思考 説明
ラテラル・シンキング(水平思考) 別の視点で考える(動物や植物になったつもりで、過去や未来)、常識や前提を捨てて自由に発想する思考法
インスピレーション・シンキング(閃き思考) 考え抜くことにより、その問題を考えていない時に、自動的に無意識に脳が働いて、解決策が閃く思考法
ダイバージェント・シンキング(発散・拡散思考) 制限をなくしどんどんアイディアを出す思考法、注意散漫な人はクリエイティブ、対極に収束型思考がある
システマチック・シンキング(システム思考) 出来事を相互に影響を与え合う要素の集合体としてとらえる(過去のパターンから次に何が起こるかを予想し、計画的に対策をとれるようにする)
エステティカル・シンキング(美的思考) 五感に心地よく働くものを生み出す思考法、直観と慣性を重視

神戸大学大学院では、「ロジカルシンキング(論理的思考)」「クリティカルシンキング(批判的的思考)」「ラテラルシンキング(水平思考)」を合わせて「思考三位一体理論」と呼んでいたりする。

 

今回初めて知って、胸のモヤモヤ感が払拭された。改めて見てみよう。

例題1:運賃計算に時間がかかる問題解決

JR東日本のSuicaをはじめとする共通乗車カード・電子マネーの普及によって、ICカードさえあれば大抵の交通機関を利用できるようになった。

ただしICカードをタッチして通り抜けるまでの間に、運賃計算をする必要があるが、それには一定の時間が必要。

とくに、他線への乗り換えをした場合は計算が複雑になり処理時間が長くなる。

その間、人が通り抜けないように出口を閉じてしまうと、人の流れが止まり、混雑や思わぬ事故を招いてしまう危険もある。

では「運賃計算に時間がかかる」問題を解決するには、どのような方法が考えられるか?

回答1:クリティカル・シンキングで考える

ここでの課題は「改札機における通過のスムーズ化」だと分かる。

 

 

「課題が分かれば施策は自ずと決まる」というのがマネージャ陣の口癖だ。

で、次のような施策を提案した。

 

【短期的な解決方法】

  • 改札の数を増やす
  • 改札係員の手動対応
  • 待ち時間に対するエンタメ提供
  • 一部のユーザの優先扉提供

【長期的な解決方法】

  • 計算速度を上げる開発

 

施策は今風にChatGPTを使ったりして提案した。

 

会議では得意のロジックで説明したためマネージャ陣に承認され、その担当の責務なった。

回答2:ラテラル・シンキングで考える

この場合は、まずは前提や常識を疑う。

  • 「そもそも自動改札機は早く通り抜けなければいけないのか」
  • 「早く通り抜けなければいけない理由は何なのか」

そこで「改札機の長さ」に解決の糸口を見出してみる。

つまり、

 

自動改札口の長さを長くする

 

ことで解決することができる。

これによりお客が長い改札を通過する分だけ計算時間が稼げるようになった。

これは実際の話。

 

ロジカル・シンキングとラテラル・シンキングを比較すると次のようになる。

ロジカル・シンキング ラテラル・シンキング
目的 筋道を立てて論理的に解答を導き出す 思考の幅を広げる
思考の方向性 垂直思考。ひとつの考え方を深く掘り下げる。物事を分類・整理する。具体化を考える 水平思考。考え方の可能性を広げる。物事の要素を集める。本質を考える
解答 基本的に解答は一つ 唯一の正解はなく、たくさんの解答がある
考え方 常識的・経験的に発想する。論理を重視する。既存の枠組みに当てはめる。 自由奔放に発想する。直感を大切にする。枠組みにとわれない

まとめ

ChatGPTはそれなりに論理展開が得意だ。

であれば人間は論理より創造性で勝負できないと価値を提供することができなくなっている。

 

ラテラル・シンキングには唯一の正解はない。

視点を広げる際にさまざまな選択肢が生まれるが、どんなものであれ問題の解決につながるものは全て正解だ。

これはChatGPTにはまだ十分な力はない。

人間に残された価値はここにあると思ってる。

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