晩冬にも関わらず、今週の夜明けの陽の光は強く頬を撫でて流れていく。
その温もりに包まれようと、ポケットに入れていた手をそっと伸ばしてみた。
手には、確かなじんわりとした温かみを感じる。
だけど一方で、それが何だか責められているように感じて歯を鳴らした。
そして、夜明けの空とは、まるで太陽を捕まえきれずに消えていく空のようだと、そんなことがふと頭を過ぎ去った。
一昨年前、年収が115万円ダウンした。
そして昨年は9万円の年収アップだ。
二年経過し、ようやく会社から私は不要宣告を受けている現実に気付かされた。
誰の胸にもあった若き日の情熱は、既に私の心から消滅している。
誰もが「何者かになる自分」を夢見ては、社会に出て、現実の過酷さ、残酷さに打ちのめされて生きている。
時間の流れというのは、ときに残酷だ。
夢中になったこと、楽しかった記憶、大好きだった人の声・・・・
それらは無残にも、脳の片隅に追いやられ、そして忘れていく。まるで、すくい上げた水が手からこぼれ落ちるように。
そして、いつしか「忘れた」ということすら認識できなくなってしまう。
ただし「経験」は消えてしまったわけではない。
脳には深く刻まれて、何かをキッカケに思い出す。
前回ゲームブックを紹介したことで、小学生時代に大流行したキャラを思い出した。
学校への持込が禁止となった「エスパークス」シリーズ
1989年に生まれた大ヒット文房具シリーズ・エスパークス。
こちらも、30歳〜40歳ぐらいの男性であれば知っている人が多いはずだ。
1989年に第1弾のシリーズが発売され、以降1年に2回新作の発表が行われ、1995年の第9弾まで発売が続けられた。
- 第1弾発売(1989年)
- 第3弾発売(1990年9月)
- 第5弾が発売(1991年9月)
- 第9弾が発売(1995年年9月)
ノートにストーリー付きの漫画が掲載されただけでなく、下敷き、消しゴム、鉛筆、カンペンケースなど学校に持ってきても違和感はない文房具に、
- マンガ
- サイドストーリー
- スゴロク
- サイコロ
など、さまざまなコンテンツが掲載されていた当時は画期的なスタイルをとっていた。
第1弾、第2弾とシリーズが更新されるごとに変化していく主人公の鎧が小学生たちにワクワク感を生み出し、「エスパークス」は瞬く間に大ヒット。
小中学生の僕らはそれを真似して絵を描いてみたり新しい鎧を考えてみたりと、創意工夫した。
わずか100円のノート上で展開される漫画やゲームは、当時の小学生を大いに魅了した。
エスパークスの人気は凄かったなー。
休憩中は新しいエスパークス文房具を持っている人の周りに群がり、スゴロクしてゲームして・・・。
子供の小学校に「鬼滅の刃グッツ」を最初に持って行かせた馬鹿親に怒りを覚えていたが、
昭和の終わりに生まれた私達は全く勉強してないね・・・。
エスパークスだー!ビックリマンだー!ドラゴンボールだー!
他にも、
- ファミコン・スーファミ(ドラゴンクエスト、マリオブラザーズ)
- カードダス(ガンダム、ドラゴンボール、幽遊白書)
- SDガンダムBB戦士、機動戦士ガンダム
- ハリマ王の伝説
- 聖闘士星矢、ゾイド、トランスフォーマー
- ミニ四駆
など、子供を誘惑する玩具やキャラクターは大量に存在した。
今の「鬼滅の刃」ブームのように、マルチ商法でもなく親子一丸となって楽しんでる作品であれば可愛いものだ。
まぁ、うちの家は貧乏だったので何一つ買ってもらったことは一度も無いけどね。「ハノイの塔」以外は。
1990年になり衰退したゲームブック
小学校を卒業しエスパークスがどうなったのか把握していなかったが、Wikipediaによると
文房具シリーズ自体がPTAからの批判により、学校への持込が禁止されてしまった為に、第9弾を以て終了(文房具屋では学校禁止の商品は取扱えなかった)
まさかの、打ち切り!
さらには、1990年代初頭にはゲームブックブームの牽引役となっていた企業が撤退し、ゲームブックのブームは完全に終焉した。
ブームはコンピュータゲームにおけるRPGの隆盛を反比例していると考察されていた。
ゲーム機で手軽に冒険できるようになった時、しち面倒くさいゲームブックをわざわざやろうと考える人は少なかったということだろう
と書いてあるが、どうだろう。
今の時代に例えば鬼滅の刃のゲームブック文房具があれば、人気になると思うけどね。
やっぱりPTAの反対は大きいね。
惜しまれる声が大きいため、電子書籍と紙媒体でPART1~9をあわせた完全版が発売されている。
これ、当時の私もストーリーが所々繋がってない印象を持っていたが、Amazonの書き込みを見てもそう書かれてる。
まぁ文房具という制限のあった漫画ということか・・・。
因みにゲームブックというジャンルは消滅しておらず、僅かではあるが今でも購入可能だ。
例えば「進撃の巨人ゲームブック」などが存在している。
まとめ
ゲームブックの衰退は、まるで平家の盛者必衰の様子を私たちに伝えている。
文化というものは、時代とともに作り出されて変化していくもの。普遍的なものではない。
たまには懐古してみるのも良いね。