教育実習中に「なんで数学を勉強する必要があるの?」と何度か質問された。
当時、自分が何と答えたかは、ハッキリとは覚えていない・・
小説「容疑者Xの献身」では、数学の高校教師 石神は次のように返答している(以下、要約)。
生徒「微分積分なんて一体何の役に立つんだよ。時間の無駄だろうが」
石神
君はバイクが好きだそうだな。オートレースを見たことあるか。
レーサーたちは戦略的な事情から、たえず速度を変えている。
加速する度合いというのが、その時点での速度の微分だ。走行距離というのは、刻々と変化する速度を積分したものだ。
生徒「だけどさ、レーサーはそんなこと考えてないぜ。微分とか積分とかなんて。」
石神
「もちろん彼等はそうだろう。だけどレーサーをバックアップしているスタッフはそうじゃない。」
「本人たちに使っている意識はないかもしれないが、それを応用したコンピュータソフトを使っているのは事実。」
生徒「だったら、そのソフトを作る人間だけが数学を勉強すりゃいいじゃねえか。俺がそんなもんになるわけないよ。」
石神
「君じゃなくても、ここにいるほかの誰かがなるかもしれない。その誰かのために数学という授業はある。」
「いっておくが、俺が君たちに教えているのは、数学という世界のほんの入り口にすぎない。」
「それがどこにあるかわからないんじゃ、中に入ることもできないからな。」
「もちろん、嫌な者は中に入らなくていい。」
「俺が試験をするのは、入り口の場所ぐらいはわかったかどうかを確認したいからだ。」
・・・まとめておきながら、少し微妙な回答かな。