ワイングラスはボウルを持つのが正解!は嘘っぱち? 4/4

これまでのあらすじ

国際的に見ると公式な晩餐会マナーとしては、ボウル部分を持つとされております。
【引用】ワイングラスの持ち方(使える!ワインマナー) | アサヒワインコム | アサヒビール

シャンパングラスであれワイングラスであれ、立っていようと座っていようと、ともかく、グラスはカップ状の本体部分を持つのが当たり前です。
【引用】ワイングラスの持ち方 新訂版(文・日向清人)

欧米では、フォーマルな場でも大統領や王室の人達はワイングラスの“ボウル部分”を持っています(勿論、一般の方も!)
【引用】グラスの脚(ステム)を持つのはNG!? 知っておきたいワインのマナー(文・ミカマイコ)

 
 

322x288xdd43dfa1b35481b5ba9677db

それは、ひょっとしてギャグで言っているのか?

 
 

関連記事(全4回+英語)

ワイングラスはボウルを持つのが正解!は嘘っぱち? 4/4

ワイングラスはボウルを持つのが正解!は嘘っぱち? 3/4

ワイングラスはボウルを持つのが正解!は嘘っぱち? 2/4

ワイングラスはボウルを持つのが正解!は嘘っぱち? 1/4

Which holding a wine glass is better, by stem or by bowl?

スポンサーリンク

書物を確認してみる

最後に幾つかの文献も確認してみました。

 
 

  • 国際儀礼に関する12章―プロトコール早わかり(外務省外務大臣官房国内広報課)
  • やさしい国際儀礼―プロトコールQ&A(外務省外務報道官)
  • 国際儀礼とエチケット (友田二郎)
  • プロトコール入門―国際儀礼とマナー(安倍勲)

しかし外務省をはじめ、国際儀礼を記載する書物にワイングラスの持ち方の記載は一切ありません。

日本の古書の記載は?

結論としては、持ち方に対する言及はありません。

唯一「グラスは足付きを用意してね。」と書かれた文献を見つけました。

タイトル「欧米の習慣作法」
著者「瀧本二郎」
出版社「欧米旅行案内社出版部」
出版年月日「昭和10年」

愛酒家は脚付グラスを好みます。之は、テーブルに置いて上品に見へるのみで無く、杯を持ち弄ぶは愛酒家の嗜であり、而かも手の温味は必要の時以外には、ワインを温くする恐れがないから

 
 
これだけでは記事にならないので、各書物に描かれた挿し絵を載せておきます。
 
 

ワイングラスのボウルを持ってる図

タイトル「現代礼儀作法図説」
著者「近藤正一」
出版者「博文館」
出版年月日「大正2年」

Clipboard01

これが唯一ボウルを持ってる図です。
 
 

ワイングラスのステムを持ってる図

タイトル「国民作法要義」
著者「甫守謹吾」
出版者「金港堂書籍」
出版年月日「大正5年」

wine13

食卓上の主人の挨拶は愉快かつ端正に。

 
 

タイトル「図説女子作法要義」
出版者「金港堂書籍」
出版年月日「大正6年」

wine11

シャンパンが行きわたった後に主人は盃を持って起立。
 
 

タイトル「昭和日常社交礼法」
出版者「婦女界(附録)」
出版年月日「昭和3年」

Clipboard01
wine12

乾杯は目の高さまで盃をあげ、左右、向かいの人に目礼する。
 
 

タイトル「中等作法教本」
出版年月日「昭和6年」

wine12

乾杯は盃をあげて、互いに目礼した後に飲みほす。
 
 

タイトル「(実際に役立つ挿画と言葉入)礼儀と挨拶の仕方(下)」
出版年月日「昭和7年」

wine14
乾杯は起立して。
 
 

まとめ

日本においてワイングラスの持ち方をマナーとして定義した記述は見つかりませんでした。

 
 

つまり歴史的にも国際的なマナーとしても

 
 

ワイングラスの持ち方に正解はありません。

 
 

座って飲むなら、好きな持ち方でよいでしょう。

ワイン愛好家とワインを楽しむなら、自ずとステムを持つことになります。

立ち歩く場合は、相手にワインを浴びせないようにボウルを持つほうがよいでしょう。

 
 

つまり、TPOに合わせて持ち方を変えるのが正しいワイングラスの持ち方です。
 
 

いつでもステム or ボウルを持つことをマナーと説明する人は信じるな!

 
 

因みに、同僚のフランス人は次のように言ってました。

「自分が持ちやすい、飲みやすい持ち方でよい」
「手が汚れていたら、ステムを持つ方がよい」

 
 

・・・もう、お前には勝ち目はないよ。

 
 

ならば・・・・・、

記事の修正をアサヒビールに要求した

 
 

度々のご連絡をいただき誠にありがとうございます。

お問い合わせいただきました、サイト上におけるワイングラスの持ち方の記載につきましては、現在内容を見直しており、修正する方向にて検討をいたしております。

お忙しい中、多くの示唆を賜りましたこと、重ねてお礼申し上げます。

アサヒグループWebSite事務局より

 
 

あれ、あっさり・・

修正するとの返答でした。

 
 

調査期間3ヶ月。

ようやく結論にたどりつきました。

 
 

「こだわりをグラスの持ち方に向けても味は向上しない」
ジョルジュ・ペロニスキー(2chの架空人物)

 
 

嘘を嘘と見抜けない人は社会を生きていくのは難しい。

追伸(2016.08.01)

アサヒビールさんのサイトは次のように書き変わりました。

意外と悩むグラスの持ち方ですが、ステム(脚)部分を持つのは、テイスティングの様式で、グラスの横から、ワインの色や粘性を観察するための持ち方です。

見た目もエレガントに見えますし、温度変化も少ないことからステムを持つことをすすめることが多いようです。

グラスの持ち方には諸説あるため、パーティなどでは主催者や周りの人に合わせるなど、TPOに応じて対応するのがよいでしょう。

私のつまらない話に付き合って下さりありがとうございました。

追伸(2016.07.01)

フランス人に調査結果を報告したところ、彼の知り合いの中にはグラスの皿を持って飲む人もいるとの事です。

タイトルとURLをコピーしました