日本版「ダウの犬」の期待値検証(システムトレード)

「ダウの犬」戦略。

米国で運用会社を経営していたマイケル・オヒギンズ氏が1991年に著書「Beating The Dow(邦題:ダウの犬投資法)」で提唱したもの。

毎年1回の銘柄選定により高配当の大型優良株に投資するというシンプルな手法。

投資方法は次の通り。

  • NYダウ(ダウ工業株30種平均)採用銘柄(30銘柄)を配当利回りの高い順に並べ、上位10銘柄を選びます。その10銘柄に等金額投資します。
  • 1年後に、もう一度NYダウ採用の配当利回り上位10社をスクリーニングします。
  • 1年ごとに、上記の方法でリバランス(銘柄入れ替え)を続けます。

このシンプルな投資方法で、NYダウを上回るパフォーマンスを挙げられるらしい。

ダウの犬投資法―プロにも株価指数にも勝つための「単純」戦略 (ウィザードブックシリーズ)

ダウの犬投資法―プロにも株価指数にも勝つための「単純」戦略 (ウィザードブックシリーズ)

マイケル・B・オヒギンズ, ジョン・ダウンズ
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具体的には過去20年程度のパフォーマンスを計測すると、年率9%、勝率は75%にもなるそうだ。

 

なぜ配当利回りが高い銘柄に投資をするのか?

理由は配当利回りが高い=株価が低いなので「割安な株」に投資できるから。

 

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額 ÷ 1株購入価額 × 100

 

配当利回りが高い銘柄(ダウの犬)とは「その年に株価が下落した、or あまり上昇しなかった」ダメな銘柄という風に解釈できる。

 

つまり翌年は反発するだろうという逆張り的な発想

 

であり、大型優良株で構成するダウ平均なら配当も安定していると考える。

 

なお、米国では「ダウの犬」手法が広く知られており、実行する人が増え「効果が薄れた」との指摘が多く聞かれているらしい。

特に 2020年は「ダウの犬」による投資収益は-8.0%とNYダウの+9.7%を大きく下回った。

なんだよ……

日本版「ダウの犬」の期待値検証

実はこのダウの犬投資法は、日本株に対しても有効なことが知られている。

 

長期的な視点で見ればパフォーマンスは良好で、85%にもなるらしい。

「ダウの犬」とは銘柄数などの諸条件が異なるために単純な横比較はできないが、年率リターンも10%近くになり驚異的とのこと。

ただし、2012年以降は目立ったリターンを生み出せず、2018年、2019年はマイナスという結果らしい。

日本株のプロがひっそり儲ける「東証のセレブ犬」投資の凄すぎる実力(大川 智宏) @moneygendai
例年、1月を含む年末~年始に話題になる有名な投資法として、「ダウの犬」投資がある。過去20年程度のパフォーマンスを計測すると、年率9%、勝率は75%にもなる。実はこのダウの犬投資法は、日本株に対しても有効なことが知られている。今回、そんな「東証の犬」に「自己資本比率」の観点を付け加えるという「東証のセレブ犬」投資につい...

 
 

ストラテジーは次のとおり。

【仕掛けのルール】

次の条件を満たす銘柄を年始に50万円上限、軍資金300万円で購入する

  • 1) TOPIX Core30のうち、「予想配当利回り」の高い順に並べる
  • 2) 予想配当利回りの高い順に並べる

【手仕舞いのルール】

  • 1) 大納会である

 
 

各年の大納会/年始めは別途カレンダーを見て調査を行った。

また、過去のTOPIX Core30のデータは前回調査済だ。

TOPIX Core30 の過去10年の構成銘柄と恋愛四季報の調査
岸田首相は「NISA(少額投資非課税制度)」を恒久的な制度にする考えだそうだ。株のプロでない僕たちには有り難い制度。でも、もう老い先短い……© ドラゴンボール/鳥山明/集英社...

この一覧に対して過去の会社四季報を調べて「⑥ 配当利回り」を追加した。

 

……と言いたいところだが、2001年~2010年のデータは下記にあったので、こちらを使っている。

米国流割安株投資「ダウの犬」戦略 日本での効果は? 編集委員 田村正之 - 日本経済新聞
米国で有名な「ダウの犬(Dogs of the Dow」戦略という割安株投資術をご存じだろうか。ダウ工業株30種平均の採用銘柄の中から、配当利回りの高い順に10社を選んで投資し、1年後に売却することを繰り返すと高収益が期待できるというものだ。配当利回りは「配当÷株価」なので、配当が一定なら、売られて株価が安くなると配当...

作成したデータはGithubで公開済だ。

バックテスト結果

2001年からバックテストを行った。計算時間は6分。

利益曲線は次の通り。

長期スパンで見ると上昇しているが、アメリカ同様で最近は落ち気味だ。

効果が減ったのが偶然なのかは分からない。

おわりに

長期スパンで見ると上昇しているが、今後も上がり続ける保証はない。

 

そもそも「過去の株価が単調増加だから未来も単調増加の可能性が高い」って……

 
 

それって「アナタの感想」ですよね?

© 異世界ひろゆき/西出ケンゴロー/集英社

 
 

ギャフン……

20140403133845 (1)

© ガラスの仮面/美内すずえ/白泉社

ソースコード

また、バックテストには無料OSSの「Protra」を利用した。

TIlib、Utility、TrendCheck、TOPIXライブラリはGitHubに置いている。

Protraのデータを作成するために利用したPythonのコードも公開しておく。

利用したCSVはGithubに置いている。

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