魚の「リリース問題」は荒れやすい話題。
稚魚の痛みが、まるで皮をむかれた白兎のように胸苦しく突き刺さってきました(泣
と言うような本気とも冗談ともつかないコメントを貰うことがある。
情緒表現豊かだね。
作家目指せば良いと思うよ、うん。
誰だって大きい魚が釣りたいさ。
でも、釣りって運ゲーだからね。
千葉市内の陸っぱりの時点で当選確率がジャンボ宝くじと同じミニを購入してるようなもんだわ。
持続的な漁業を支える為に、稚魚を捕まえた場合は再放流(バッグリミット)をするのが好ましい。
そのルールが魚種毎に決まっている県もあるが、一覧サイトが見つからなかった。
なので、まとめてみた。
将来の己を戒めるとともに、同じ轍をほかの人が踏まないように幾ばくかの参考になればという想いを込めて……。
それはまるで稚魚ばかりを捕獲する自分に課せられた義務のようなものだと考えている。
JGFA(NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会)の再放流ルール
まずググってすぐに見つかるのが「JGFA(NPO法人ジャパンゲームフィッシュ協会)」のサイトにある再放流ルール。
JGFAでは、私たちのこよなく愛する釣りがいつまでもいい状況で続けられることを願って、将来のゲームフィッシュ資源を考えバッグリミット(釣った魚などを持ち帰る際の尾数、サイズの基準、制限)をさまざまな魚種で提唱し、実践していただこうと考えております。
一覧が次のように掲載されていた。
魚種 | 確保可能 | 尾数 | 備考 |
---|---|---|---|
アイナメ | 30cm以上 | 3 | 大型魚の保護のために40cm以上もリリースが望ましい |
カレイ類 | 25cm以上 | 5 | 20cm前後で成熟 |
クロダイ類 | 40cm以下 | 1 | |
サバ類 | 30cm以上 | 10 | 未成魚の漁獲は控えましょう |
アジ類 | 10cm以上 | 30 | |
シロギス | 15cm以上 | 30 | |
スズキ | 60cm以下 | 1 | 大型魚を残すために60cm以上のスズキはリリース |
メジナ類 | 30cm以上 | 2 | 30cmに達するのに7年かかる |
メバル類 | 20cm以上 | 10 | 同じ釣り場からの持ち帰りが続かないように注意 |
…………。
…………。
持って帰れる魚種がいない……。
サバ類30cm以上って……陸っぱりじゃ滅多に釣れねーだろww。
そしてクロダイ、スズキは「40cm以下」「60cm以下」と書かれているよ?
僕、15cm未満なら幾らでも釣ったり捕獲してるけどオケなんだ?
目的がよく分からんな。
釣りに関する各都道府県別のルール「漁業調整規則」
調べた結果、県によってルールがバラバラで、まとまったページも無いことが分かった。
唯一、1994年の「全国漁業協同組合連合会」に「海は銀行 魚は貯金」と称して、各県の規定をまとめている。
これをベースにしつつ、各県の最新情報を確認して更新した。
このルールに従えば、
漁業規定にある再放流サイズを守っているので持ち帰っても良い
と堂々と言える、と思ってる。
ここでは、規定が多い順に魚種を掲載しておく。
全魚種リストは「各都道府県の再放流(バックリミット)規定サイズ一覧表」に置いている。
マダイ | ヒラメ | カレイ類 | ワタリガニ | メバル類 | クロダイ類 | |
---|---|---|---|---|---|---|
JGFA | 60cmより大 | 40cm未満 | 25cm未満 | 20cm未満 | 40cmより大 | |
北海道 | 35cm未満 | 35cm未満 | ||||
青森県 | 0才魚 | 35cm未満 | 20cm未満 | |||
岩手県 | 30cm未満 | 20cm未満 | ||||
宮城県 | 30cm未満 | |||||
秋田県 | 14cm未満 | 30cm以下 | ||||
山形県 | 15cm以下 | 25cm以下 | 17cm以下 | |||
福島県 | 30cm未満 | |||||
茨城県 | 30cm未満 | |||||
千葉県 | 20cm以下 | 30cm未満 | ||||
東京都 | 20cm以下 | |||||
神奈川県 | 20cm以下 | |||||
新潟県 | 14cm未満 | 30cm未満 | 13cm未満 | |||
富山県 | 13cm未満 | 25cm未満 | ||||
石川県 | 13cm未満 | |||||
福井県 | 13cm未満 | |||||
静岡県 | 17cm以下 | 30cm以下 | ||||
愛知県 | 13cm以下 | |||||
三重県 | 17cm以下 | 30cm未満 | 13cm以下 | 10cm以下 | 12cm以下 | |
京都府 | 10cm以下 | 25cm以下 | ||||
大阪府 | 13cm以下 | 28cm以下 | 15cm以下 | 13cm以下 | ||
兵庫県 | 13cm以下 | 25cm以下 | 17cm以下 | |||
和歌山県 | 13cm以下 | |||||
鳥取県 | 13cm以下 | 25cm以下 | ||||
島根県 | 15cm以下 | 30cm以下 | ||||
岡山県 | 14cm以下 | 28cm以下 | 16cm以下 | 15cm以下 | 12cm以下 | 15cm以下 |
広島県 | 13cm以下 | 20cm以下 | 13cm以下 | 3cm以下 | 10cm以下 | |
山口県 | 15cm以下 | 25cm以下 | ||||
徳島県 | 15cm以下 | 20cm以下 | 15cm以下 | 抱卵ガザミ | ||
香川県 | 14cm以下 | 29cm未満 | 16cm未満 | |||
愛媛県 | 15cm以下 | 20cm以下 | ||||
福岡県 | 13cm未満 | 20cm未満 | 12cm以下 | |||
佐賀県 | 15cm未満 | 20cm未満 | 12cm以下 | |||
長崎県 | 15cm以下 | 25cm以下 | 12cm以下 | |||
熊本県 | 15cm以下 | 20cm以下 | 12cm以下 | |||
鹿児島県 | 15cm以下 | 25cm以下 |
「カレイ類」としているが「マコガレイ」か「マガレイ」に対する規定で、「イシガレイ」を規定している県は無かった。
傾向としては魚種が豊富な北の地方はより厳し目なサイズ規定となっているようだ。
以降は付録としてイラストで説明していたり、地元および特徴が目立った代表的な県に関して紹介しておく。
青森県(東北地方)
カレイ類は「青森県における漁業者による資源管理型漁業の取組状況(小型魚等再放流関係)」の中で種類によって再放流サイズが規定されていた。
- マコガレイ・・・再放流(20cm未満)
- マガレイ・・・・再放流(15cm未満)
- ムシガレイ・・・再放流(20cm未満)
北の地域は「カレイ」や「アイナメ」は大切な資源だからね。
岩手県(東北地方)
岩手県内では「魚類の資源管理計画」に基づき、ヒラメ(平成8年8月~)、マコガレイ(平成13年8月~)の規制に取り組んできた。
が、対象魚種としてアイナメとミズダコ(平成18年8月1日~)を新たに加えたそうだ。
このように、再放流のサイズがアップしたり魚種が増えたりは多くの県で見受けられた。
新潟県(中部地方)
「新潟県の水産業と県の取組(農林水産部水産課)」に次のように書かれている。
面白いのは「シロギス(12cm未満は放流)」が入っていること。
山形県でも規定があったが、南の地域が多そうなイメージがあるが違うのかな?
千葉県(関東地方)
今住んでいる千葉県は「ヒラメ」「マダイ」「キンメダイ」程度しか規定がない。
そして、
ヒラメは小型魚(全長 30cm 未満,底びき網は 25cm 未満)の再放流
と書かれているが、なぜか底引き網の場合は甘い数値。
なお「再放流定規」というものが存在するらしいが、全くネットで情報が出てこなかった。
三重県(近畿地方)
三重県の伊勢農林水産事務所が発行している「みえの水産2010年度版」という資料の中では、 三重県資源管理・密漁防止対策協議会で次のような規定で再放流する大きさを決め指導している。
「クロダイ(チヌ)」や「ガザミ(ワタリガニ)」が入っているのは南の地域の特徴だ。
大阪府(近畿地方)
色々な魚種を規定していた。
釣りなどを楽しむ遊漁者の皆さんにとっては、海はレクリエーションの場ですが、漁業を営む漁業者にとっては大切な仕事の場です。
皆さんも資源保護のため、小さな魚は海に返すことへのご協力をお願いします。
と、「オニオコゼ」「アナゴ」「シャコエビ」なども規定している。
「ハオコゼ」なら沢山釣ってきたが「オニオコゼ」の稚魚って、そんなに釣れたっけ?
岡山県(中国地方)
「岡山県における再放流について」で、もっとも多くの魚種の再放流ルールを規定している。
キュウセン(ギザミ)まで規定しているのは珍しい。
広島県(中国地方)
我が地元。
「広島湾小型機船底びき網漁業資源回復計画素案」に次のように書かれている。
瀬戸内海漁業取締規則,広島県漁業調整規則により,採捕禁止期間,体長等制限及び操業 禁止区域,漁具・漁法が規定されている。
根拠法令等 | 管理措置内容 |
---|---|
瀬戸内海漁業取締規則 | マダイ 全長 12cm 以下の採捕禁止(7/1~9/30) |
広島県漁業調整規則 | クロダイ 全長 10cm 以下の採捕禁止(7/1~10/31) |
メバル 体長3cm 以下の採捕禁止(3/1~9/30) | |
ナマコ 4/1~10/31 まで採捕禁止 | |
ガザミ 全甲幅 13cm 以下の採捕禁止 | |
クルマエビ 全長 10cm 以下の採捕禁止 |
メバル3cmって冗談でしょ?
13cmの誤りじゃないのか?
と思って別サイトも確認したが間違いじゃないようだ。そして こちらでは、「ボラ」「メナダ」「コノシロ」「サヨリ」まで規定されていた。
コロシロが7cm以下は捕獲出来ないので、寿司名物のシンコは一般人は捕獲出来ない。
更に、他の県同様に「マダイ」「ヒラメ」の規定も発見したが、マダイの再放流サイズが前述と異なる。
魚種 | 管理措置内容 |
---|---|
トラフグ | 全長 10cm 以下の再放流 |
マダイ | 全長 13cm 以下の再放流 |
ヒラメ | 全長 20cm 以下の再放流 |
徳島県(四国地方)
平成23年度の「資源回復計画推進事業 – 徳島県」に記載があった。
これまで自主的に実施してきた取組内容を継続あるいは強化するとともに,新たに,ヒラメ,マコガレイ,クルマエビの小型個体を再放流する(表1)。
四国は高知県は海水魚の再放流規定が見つからなかった。
熊本県(九州地方)
「熊本県広域資源管理推進計画」に次のように書かれている。
マダイ全長 15cm 以下
ヒラメ全長 20cm 以下
は再放流
この辺りは他県と同じ。
ガザミについては、有明海ガザミ広域資源管理方針に基づき
全甲幅長 12cm 以下の小型ガザミは再放流
となっている。
有明海の規定なので隣接県も同じサイズ規定。
まとめ
「ヒラメ」や「マダイ」の再放流に関しては多くの各都道府県で決まっているようだ。
「カレイ類」や「ワタリガニ(ガザミ)」に関しても多い印象は受けた。
サイズは県ごとにバラバラなので最大値を選択すれば解決だが、15cmのカレイはやっぱり持って帰りたい……。