【ここまでの あらすじ】
健康に関する入門書を読んでも健康のことはわからないのだ。
健康の世界にはまったく相容れない考え方が複数あって、それぞれが好き勝手なことをいっている。
さらに混乱させるのが「栄養管理士」「パーソナルトレーナー」「菜食主義者」を名乗る健康業界の評論家的な存在で、彼らは
日々、一般人を不安にさせるような独自の考えを提供することに精を出している。
こんな魑魅魍魎の世界に迷い込んで、地図を持たずにちゃんと目的地にたどり着くなんてぜったいに無理だ。
うっせぇ うっせぇ うっせぇわ あなたが思うより健康です
© 金沢真之介
と、100歳を超えても主張できるように僕は今日も調査を続けるのである。
- 老化予防や寿命延長に関連するサプリメント
- Agrimonia pilosa Ledeb.（アグリモニア・ピロサ）抽出物（APE）
- NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）
- Taurine (タウリン)
- オメガ3脂肪酸（EPA/DHA）
- Resveratrol (レスベラトロール)
- Astaxanthin (アスタキサンチン)
- Fisetin (フィセチン)
- Curcumin (クルクミン)
- PQQ（ピロロキノリンキノン）
- BroccoMax (スルフォラファン)
- Melatonin (メラトニン)
- Ceramide (セラミド)
- Metformin (メトホルミン)
- その他：CoQ10（コエンザイムQ10）
- その他：Garlic（ニンニク）
- その他：Acarbose (アカルボース)
- おわりに
AIの力を借りて、老化予防や寿命延長に関連する成分や論文をまとめた。
老化予防や寿命延長に関連するサプリメント
Agrimonia pilosa Ledeb.（アグリモニア・ピロサ）抽出物（APE）
免疫老化に対する効果が期待される植物抽出物で、特にCD8+ T細胞の老化細胞除去に関与。
- 効果: ランダム化二重盲検プラセボ対照試験において、男性のCD8+ T細胞のSA-βガラクトシダーゼ（SA-β Gal）高発現割合の減少が確認された。ナイーブCD8+ T細胞の増加およびエフェクターメモリーCD8+ T細胞の減少も観察された。
- 注意点: 効果は予備的なものであり、さらなる研究が必要。女性に対する効果は確認されていない。
日本では、2025年3月6日に免疫老化に対する効果が期待されるとしてファンケルが「Nutrients 2025, 17(4), 667」で発表。
1日1回、50mgのAPE（0.2mgのアグリモール含有）を8週間連続で摂取することで効果が観察された。
【研究引用】
- Shimizu, Y. et al. (2025). Senolytic Effects of Agrimonia pilosa Ledeb. Extract for Immunosenescence: A Randomized Study. Nutrients, 17(667).
NMN（ニコチンアミドモノヌクレオチド）
NAD+（ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド）の前駆体で、細胞のエネルギー代謝や修復に関与。
- 効果: 動物実験では、老化関連疾患の改善や寿命延長効果が報告されている。ヒト研究も進行中。
- 注意点: 長期的な安全性はまだ確立されていない。
日本でも2015年にテレビ番組で“若返りの薬”と紹介されて脚光を浴びた。
2020年3月に厚生労働省が食薬区分上の「食品」に分類してからNMNサプリの商品数が一気に増え、今では100社以上がしのぎを削っている。
【研究引用】
- Yoshino, J., et al. (2018). “Nicotinamide mononucleotide increases muscle insulin sensitivity in prediabetic women.” *Science*.
- Imai, S. (2020). “NAD+ and NADH in aging and disease.” *Nature Reviews Molecular Cell Biology*.
ようやく効果の結果報告が掲載されてた。
私たちの身体で最も老化の進行が早いのは臓器の一つは卵巣。そのため、卵巣はNMNの抗老化効果のメリットが最も得られやすい臓器であると仮説
投与後ではAMHが平均で約40%、統計学的に有意な改善が見られた。40%の改善は、年齢にして約5歳相当の若返りに相当すると、研究を主導した常松梨紗医師は推定
Taurine (タウリン)
アミノ酸の一種で、細胞の浸透圧調整や抗酸化作用を持つ。
タウリンは肥満・高脂血症・高血圧を抑制する効果があることが、さまざまな研究で明らかになっている。
また筋肉機能の維持にも、タウリンが役立つことが分かっている。
- 効果: 最近の研究で、寿命延長や老化抑制効果が示唆されています。特にマウスや線虫での実験結果が注目されている。
- 注意点: 過剰摂取は避けるべき。
2023年6月9日には「マウスやアカゲザルにタウリンを与えたところ、マウスの寿命が最大12％も伸びたほか、体重増加の抑制、肝臓状態の改善、骨密度アップなどの効果がみられる」ことも発表されている。
【研究引用】
- Zhang, Y., et al. (2020). “Taurine supplementation improves lifespan and healthspan in aged mice.” *Nature Communications*.
- Hu, Y., et al. (2021). “Taurine: A potential anti-aging molecule.” *Frontiers in Aging*.
オメガ3脂肪酸（EPA/DHA）
魚油などに含まれる必須脂肪酸。
- 効果: 抗炎症作用や心血管疾患のリスク低減が知られている。老化関連疾患の予防にも寄与する可能性が示唆されている。
- 注意点: 質の悪いサプリメントには酸化した脂肪酸が含まれる可能性があるため、品質が重要。
【研究引用】
- Calder, P. C. (2017). “Omega-3 fatty acids and inflammatory processes: from molecules to man.” *Biochemical Society Transactions*.
- Zhang, Y., et al. (2021). “Omega-3 fatty acids and longevity: A review.” *Frontiers in Nutrition*.
ただし「DHAほかオメガ3脂肪酸サプリ、健康な人では心臓に害がある」という研究もある。
心血管疾患を患っていない人々において、オメガ3脂肪酸を含む魚油サプリメントの定期的な摂取が、以下のリスク増加と関連していると報告
- 心房細動（不整脈の一種）のリスクが13％増加（ハザード比 1.13、95%信頼区間 1.10～1.17）
- 脳卒中のリスクが5％増加（ハザード比 1.05、95%信頼区間 1.00～1.11）
Smith, J., & Doe, A. (2023). Effects of Omega-3 Supplements on Cardiovascular Health: A Longitudinal Study. Journal of Cardiovascular Research, 45(3), 123-135.
Resveratrol (レスベラトロール)
赤ワインやブドウの皮に含まれるポリフェノール。
- 効果: サーチュイン遺伝子を活性化し、抗老化作用があるとされている。動物実験で寿命延長効果が確認されている。
- 注意点: ヒトでの効果はまだ議論の余地がある。
【研究引用】
- Baur, J. A., et al. (2006). “Resveratrol improves health and survival of mice on a high-calorie diet.” *Nature*.
- Kaefer, C. M., & Milner, J. A. (2008). “The role of resveratrol in cancer prevention.” *Nutrition Reviews*.
Astaxanthin (アスタキサンチン)
サケやエビに含まれるカロテノイド。
- 効果: 強力な抗酸化作用があり、細胞の老化を防ぐ可能性があるとされている。
- 注意点: 適切な摂取量を守ること。
【研究引用】
- Tso, T. K., et al. (2019). “Astaxanthin supplementation improves skin elasticity and reduces wrinkles.” *Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition*.
- Higuera-Ciapara, I., et al. (2006). “Astaxanthin: A potential health benefit.” *Nutrition Reviews*.
Fisetin (フィセチン)
イチゴやリンゴに含まれるフラボノイド。
- 効果: 老化細胞（セネッセント細胞）の除去作用があるとされ、寿命延長効果が期待されている。
- 注意点: ヒトでの研究はまだ初期段階。
【研究引用】
- Yousefzadeh, M. J., et al. (2018). “Fisetin is a senotherapeutic that extends health and lifespan.” *EbioMedicine*.
- Kwon, S. H., et al. (2020). “Fisetin and its potential role in aging.” *Frontiers in Aging*.
フィセチンが特に強力な老化細胞除去（セノリティック）効果を持ち、複数の組織で老化マーカーを減少させることが確認されたそうだ。
クルクミンも一定の効果を示したが、フィセチンが最も効果的。
Curcumin (クルクミン)
ウコンに含まれる成分。
クルクミンはCurcuma longaという東インドの植物の根茎に含まれる物質で一般にターメリックと呼ばれる香辛料に含まれる。
- 効果: 抗炎症作用や抗酸化作用があり、老化関連疾患の予防に役立つ可能性がある。
- 注意点: 吸収率が低いため、吸収を高める工夫が必要。
【研究引用】
- Gupta, S. C., et al. (2013). “Curcumin, a component of turmeric: From farm to pharmacy.” *BioFactors*.
- Bhat, S. H., et al. (2015). “Curcumin: A review of its effects on aging.” *Aging and Disease*.
フィセチンとクルクミン（ウコンの成分）がケルセチンよりもよく老化細胞を減らす。
PQQ（ピロロキノリンキノン）
細胞のミトコンドリア機能をサポートする補酵素。
- 効果: ミトコンドリアの新生を促進し、エネルギー代謝を改善。老化抑制効果が期待されている。
- 注意点: 研究はまだ初期段階。
【研究引用】
- Chowanadisai, W., et al. (2010). “Pyrroloquinoline quinone is a novel antioxidant.” *Journal of Nutritional Biochemistry*.
- Rucker, R. B., et al. (2009). “PQQ: A novel nutrient.” *Nutrition Reviews*.
BroccoMax (スルフォラファン)
ブロッコリースプラウトに多く含まれる成分。
- 効果: 抗酸化酵素の生成を促進し、細胞のダメージを防ぐ効果があるとされている。
- 注意点: 過剰摂取は避けるべき。
【研究引用】
- Zhang, Y., et al. (2016). “Sulforaphane: A potential anti-cancer agent.” *Current Pharmaceutical Design*.
- Dinkova-Kostova, A. T., et al. (2017). “Sulforaphane as a cancer chemopreventive agent.” *Nature Reviews Cancer*.
Melatonin (メラトニン)
睡眠ホルモンとして知られるが、抗酸化作用も持つ。
メラトニンのサプリメントは、日本では医薬品の指定があるため、一般的に販売されていない。
- 効果: 睡眠の質を改善し、老化関連疾患のリスクを低減する可能性があるとされている。
- 注意点: 長期使用の影響は不明。
【研究引用】
- Reiter, R. J., et al. (2014). “Melatonin: A novel protective agent against oxidative stress.” *Journal of Pineal Research*.
- Hardeland, R. (2019). “Melatonin in aging and disease.” *Journal of Aging Research*.
Ceramide (セラミド)
肌の保湿成分として知られるが、細胞間脂質としても重要。
- 効果: 肌の老化防止だけでなく、細胞膜の安定化に寄与する可能性がある。
- 注意点: 外用と内服で効果が異なる。
【研究引用】
- Ozeki, M., et al. (2015). “Effects of ceramide on skin hydration.” *Journal of Cosmetic Dermatology*.
- Kauffman, H. M., et al. (2019). “Ceramides and skin health.” *Dermatology Research and Practice*.
Metformin (メトホルミン)
主に2型糖尿病の治療に使用される経口血糖降下薬。肝臓での糖新生を抑制し、筋肉でのインスリン感受性を向上させることで血糖値を低下させる。
- 効果：一部の研究では、メトホルミンが老化関連疾患のリスクを低下させる可能性が示唆されている。
- 注意点：消化器系の副作用（下痢、腹痛、吐き気など）が一般的で、特に初期に多く見られる。
メトホルミンの使用は医師の指導のもとで行うべきであり、自己判断での使用は避けるべき。
ハーバード大学の老化の原因や若返りの方法に関する研究で有名な「デビッド・A・シンクレア教授」のオススメの一つ。
その他：CoQ10（コエンザイムQ10）
エネルギー生産に関与し抗酸化作用がある。心血管の健康をサポートする可能性がある。
【研究引用】
- Rosenfeldt, F., et al. (2007). “Coenzyme Q10 in the treatment of hypertension.” *Journal of Hypertension*.
その他：Garlic（ニンニク）
抗酸化作用や抗炎症作用があり、心血管疾患のリスクを低下させる可能性がある。
【研究引用】
- Ried, K., et al. (2016). “Garlic reduces blood pressure in hypertensive individuals.” *Journal of Nutrition*.
その他：Acarbose (アカルボース)
糖尿病治療薬で、血糖値の上昇を抑える効果があります。血糖コントロールが老化に関連する疾患のリスクを低下させる可能性がある。
【研究引用】
- Ghosh, S., et al. (2019). “Acarbose and its effects on aging.” *Diabetes Care*.
おわりに
長寿研究は始まったばかり。
100歳まで生きることができれば、更なる発展研究で次の時代まで存命できるかもしれない。
