2012年頃
「月5万円から30年で10%で運用すると誰でも1億円が貯まる」
と言ったら誰も信じなかった。
5万円で毎月30年間で10%の利回りを続けたら1億円になる、ということがホームページに書かれていました。しかし私たちプロの目から見たら、30年間も確定をして10%で回せることはほぼあり得ないと知っています。
それが「いつかはゆかし」
当時はメディアが寄って集ってバカにし続けた。
10年後……
新NISAで月5万円でオルカン・S&P500に投資して30年で1億円を作る!
というと「当たり前だよね」と誰もが語る。
言ってることは「いつかはゆかし」と全く変わらないにも関わらず。
一般人の認識を変えさせたのは山崎元氏や初代インデックス投資者の助力だ。
だけど、今度はメディアは次のように語り始めた。
- オルカン信者は出世しない!
- オルカン信者は思考停止
- なぜ投資のプロたちは「オルカン」をやらないのか
- インデックス投資より儲かる日本株
- 初心者こそ個別株を買え
インフルエンサーや評論家は目立った者勝ちなので、彼らは正しくて地味な話よりも人目を引く面白そうな話をする。
このため常に極論がたくさん出回っている。
- 「やらないやつはバカだ」
- 「絶対にやるな」
- 「エヌビディアだけ買っとけばいい」
お金を増やしたいなら、他人を信じるな!
これは山崎元氏の言葉。これに気付くのに20年失った。
インフルエンサーやクソ評論家の発言は未だに多くの人の行動を変えてしまう。
最近では相方まで、こんな事を言ってくる。
「新NISAは政府が増税目的で作った制度だから辞めて!」
「タレントで投資家の松居一代さんが日本市場から撤退した。株は辞めて!」
「投資は貧乏な人がやっちゃいけないと言ってた。辞めて!」
マインド・コントロール パねえ……。
専門家の意見は職業上そうしているだけ、運用上役に立たないから信用するな(山崎元氏)
彼だけが、そう、彼だけが唯一の庶民の味方であり正義だった
と、僕は何度も語っている。
2013年に弊社で確定拠出年金制度が始まった。
選択肢から選ぶ必要がある状況で、彼は講演会で僕に「世界株(外国株)だけを買えば良い」と教えてくれた。
当初は半信半疑だったが恐る恐る購入。その後は利益が順調に増え続けている。
この体験は、まるで雪解け水のように投資恐怖症な僕の心を徐々に和らげ、残りの金融資産をインデックスに投じるキッカケとなった。
ほんとに ありがてぇ……ありがたいこった!
拝啓、山崎元(真心ブラザーズ)
拝啓、山崎元
あなたがこの世から去りずいぶん経ちますが
まだまだ世界は暴力にあふれ 平和ではありません。
僕があなたを知ったときは ウォーレン・バフェットと同じように御存命でいらっしゃいましたね。
三十中頃でファンになってから一番かぶれていた四十歳の頃。
山崎元 あのダサいおじさん
山崎元 バカな平和主義者
山崎元 現実見てない人
山崎元 あの夢想家だ
山崎元 今やる気がしないとか言ってた三、四年前
オルカンをやらないことで 何か新しいものを探そうとした
そして今ナツメロのように 聴くあなたの声はとても優しい
スピーカーのなか居るような あなたの声はとても優しい
(拝啓、ジョン・レノン-歌詞-真心ブラザーズ)
おわりに
経済評論家の山崎元氏が、去る2024年1月1日、食道がんのため、逝去した。享年65歳。
そして、今日で半年が過ぎた。
資本主義では、適度なリスクを取らないとリターンは取れない。
資本主義では、リスクを取りたくない人間からリスクをとってもよい人間が利益を吸い上げるように出来ている。
今の自分の置かれた状況を嘆いても仕方ない。
それを仕事に求めても良いし、彼は凡人にもできる方法を提案してくれた。
仕事で株式性のチャンスに恵まれない場合は、インデックスファンドの長期投資が効率のいい株式リスクとの付き合い方になる。
未だに株式投資を「お金は、自分で働いて儲けるもの」と言う昭和時代の人間もいる。
© ドラえもん/藤子・F・不二雄/小学館
それに対して彼の書籍「経済評論家の父から息子への手紙: お金と人生と幸せについて」には次のように書かれている。
株式投資は働かずに儲けようとする行為ではない。
『生産』には『労働』とともに『資本』が必要である。
株式投資は自分のお金を資本として提供して『働かせる』ことであり、この際にリスクを負担している。
彼のおかげで四十にして不惑となれた。
ご冥福をお祈りします。