「テレビの視聴者離れが進み、ネットコンテンツが充実し、テレビはオワコン」
と、よく言われています。
そして、統計データを見てみると、それはどうやら正しい。
特に若者のテレビ離れは顕著にデータに現れています。
テレビの視聴率が下がることでビジネスに影響がある企業・業界は多くあります。
特に影響があると思うのは2つの業界です。
- テレビ番組を配信している放送局
- テレビ受信機を発売している家電メーカー
ただし、各種業界も指を加えて、縮退方向のテレビに執着しているわけではありません。
B2Bに注力したり、ネット見逃し配信など生き残り合戦に必死です。
放送局の進化はとまらない
NHKが展開するスマートフォンアプリ「NHK 2018 FIFA ワールドカップ」を用意しました。
「神アプリ」などと呼ばれ、テレビで出来ないことを多く実現しています。
マルチアングル、ダイジェスト再生、選手データへのアクセスなど、自分が見たいデータにリモコンレスでアクセス可能です。
海外では、国営放送の「スカム(SKAM)」などは、携帯電話、SNS、テレビをうまく使って新しい視聴率獲得に成功しています。
民間放送局でも、主題歌や見逃し配信をネット公開することで、興味を持ってもらいテレビ視聴に繋げた事例があります。
つまり、コンテンツをユーザが求めていないわけではありません。
ライフスタイルが多様化し、指定時間にリビングにいる必要があるビジネスモデルが、今の時代に即してないだけです。
つまり、放送波という配信形態に執着せず、ネット、SNSを積極的に用いた形でユーザ獲得するのが最近の傾向です。
デバイスの進化はとまらない
「ビジュアルを写し出すデバイス」として考えると、家電メーカーのテレビが写し出すものは放送波の映像だけではありません。
『産業教育機器システム便覧(1972年)』によると、五官による知覚の割合は視覚器官が83%、聴覚が11%、臭覚3.5%、触覚1.5%、最後の味覚が1.0%、であるとしています。
五感を刺激して、リアルを越える映像体験を提供する
これが、デバイスの目指すべき目標であり、そのために進化(欲望・挑戦)は止まりません。
- 付加価値(デジタル化、ネットワーク接続、3D、スマート化、高音質・高画質)
- パネル(視野角、反応速度、コンストラスト、ノングレア、最薄、大画面)
- ハードウェア(ブラウン管→液晶、プラズマ→表面伝導型電子放出素子ディスプレイSED、電解放出ディスプレイFED、有機EL)
- 解像度(HD→4K→8K→16K)
- 画質(アップコンバーター、超解像度、ノイズ低減、ハイフレームレート、HDR、AI機械学習HDR復元・補正)
- 動画・音声・写真形式(HEVC、ドルビーMS12、ドルビーAC-4、HEIF)
- 音質(モノラル→ステレオ→初期サラウンド→5.1chサラウンド→7.1chサラウンド→ハイレゾ→DolbyVision→Dolby Atmos)
※適当分類
デジタルサイネージ、プロジェクター、モニタ、VR機器、スマホ・・・ビジュアルを写し出す要求は更に高まっています。
未来のビジュアル発信機器
今後期待されるハードウェアに関わる進化を紹介しておきます。
透明ディスプレイ
サムスンがよくデモをよくしています。
商品としては、パナソニックが2019年に発売予定です。
曲がるディスプレイ
LGがよくデモをしています。
小型なものは、既に様々なガジェットで使われています。
異形(フリーフォーム)ディスプレイ
丸型、球型など、長方形でないディスプレイです。
LGが展示していますが、ディスプレイ同士の継ぎ目は見えてます。
日本では、シャープが継ぎ目のない小型なものをリリースしています。
裸眼3D(空中ディスプレイ・ホログラム)
眼鏡が必要な2010年頃の3D技術が3Dのゴールではありません。
例えば、ジャパンディスプレイ(JDI)とNHKメディアテクノロジー(NHK-MT)が、8K液晶で裸眼3D立体視を実現するライトフィールドディスプレイを提案しています。
空中ディスプレイ・ホログラムの進化も裸眼3Dを支えています。
宙に浮く3Dディスプレイ「Hypervsn」や、触れるホログラム、空中ディスプレイによるタッチ注文など、CESなどの展示会で各会社が紹介を続けています。
壁ディスプレイ
ここまで来ると、スマートハウスと考えた方がよいでしょう。
任意の場所からサウンドは聞こえ、テレビも好きな位置で見れます。
雨の日は玄関で傘の必要性を伝えてくれたり、洗面所では体調チェック、人々のライフログはセンサーやカメラにより自然と記録されています。
新しいエンターテイメント、ライフスタイルを提供してくれることでしょう。