現在 日本のライブストリーミングでは、
- ニコニコ生放送(ニコ生)
- Twit Casting(ツイキャス)
- Youstream(ユースト)
- LINE Live
- SHOWROOM
など様々なサービスが出てきています。
また、用途として次のように幅広く使われています。
- ゲーム配信から企業のプロモーション
- 芸能人の配信
- 視聴者参加型オーディション
今回は、アメリカのライブストリーミングマーケットを調査してみます。
アメリカのライブストリーミング市場の概要
Streamlabsは、50万人以上のストリーマー(ストリーム配信者)のデータを分析しています。
分析データは、Twitch、YouTube Live、Periscope、 Facebook Live、Microsoft’s Mixerです。
このレポートでは、アメリカではライブストリーミングの中心は、eスポーツやゲームの中継だと報告しています。
ゲームとしては「League of Legends」「Over Watch」が上位となっています。
その生中継の際にユーザーから配信者に支払われるチップが1ゲームあたり1億円を超えるなど非常に大きなお金が動いているようです。
またストリーマーにチップを寄付したことがあるユーザーは56万人を超えているようです。
なお、Superdataresearchのグラフも、ライブストリーミングの中心が、eスポーツやゲームの中継であることを示しています。
[引用]https://www.superdataresearch.com/market-data/gaming-video-content/
ゲーム配信媒体として見たYouTube や Twitch の利用者は、一般利用として見たHBOやNetflixより多く(無料というのもありますが)、より配信者のコンテンツがユーザの目に止まりやすい状況です。
このため、どの企業もゲームライブ配信プラットフォームとしての機能充実に力を入れています。
アメリカのライブストリーミング市場の実態
次は、Ring Digital(ringdigial.tv)が発表したデータを使って中身を見てみます。
2016年にはアメリカのインターネット人口の21.9%がライブビデオを少なくとも一度視聴した経験を持っているようです。
[引用] Live Streaming on Social Networks: The State of the Market November 2016
アメリカ人が視聴する理由としては「イベントとの一体感」「配信者のタレント性」「対話&チャット」などが上位となっています。
- 25.9% イベントの参加者の一人のように感じれる
- 25.9% 配信者が面白い、感激させる、かわいい、賢い
- 23.5% 配信者とチャット&対話することができる
- 22.3% 特ダネ的な「舞台裏」の見解を提供してくれる
- 22.3% 「人々の視聴」を全く新しいレベルに引き上げる
- 12.0% コンサートやスポーツに違法アクセスできる
「イベントとの一体感」を求める視聴者は、25歳~34歳が突出しています(サンプル数は少ない)。
「対話&チャット」を求める視聴者は、16歳~24歳が突出しています(サンプル数は少ない)。
「新しい視聴体験」を求める視聴者は、35歳~44歳が突出しています(サンプル数は少ない)。
特徴的なのは、モバイルでのライブ視聴が多い(53%)一方で、FireTVやAppleTVで視聴(16%)がパソコンで視聴(9%)より高いところです。
アメリカでは個人で楽しむより、ファミリーで楽しめるライブ視聴がヒットするかもしれません。
まとめ・中国との対比
米国ではライブストリーミング市場はまだ勃興期にあります。
一方、中国ではオンライン人口の約半分にあたる3億2400万人が、既にライブ中継サービスの利用経験を持ちます。
中国では、ライブストリーミングは特に地方部から都会に出てきた若者に人気で、孤独感を和らげる目的で利用されています(テンセントの調査)。
収入的には中間層から高収入層の利用が多く、半数以上が大学以上の学歴を持っています。
コンテンツとしてはゲームやスポーツ、ライフスタイル系やショールーム系のものが人気です。
また、サービスを通じ現金が得られることも人気の要因のようです。
個人的な見解ですがライブ配信・・を考えたときには、アメリカ国内の時差の考慮も必要かもしれません。
東西の3時間の時差のより、東の方がご飯も終わった夜8時頃にライブ配信すると、西海岸ではまだ夕方の5時で外出していたり、夜ご飯を作っていたりと・・・なかなかじっくりとライブ配信を視聴出来なかったりします。
ちなみに、中国は広大ですが国内で時差はありません。
おまけ Live.meとは?
このアプリを調査せず、ライブ配信は語れないので最後に載せておきます。
Live.meはユーザー参加型の動画配信アプリです。
この分野では中国の「YY」や台湾の「17」は有名ですが、全世界でヒットしているのはこちらのアプリです。
本国アメリカでは、わずか4ヶ月で500万ダウンロードを記録しました。
いまでは全世界で5,300万DL突破、世界85ヶ国で展開しています。
Live.meの特徴としては次のようなものがあります。
- スマホの縦画面をフルに生かしたスクリーン
- 3タップで配信が完了してしまう手軽さ
- 高画質・高音質なライブをわずか数秒のタイムラグで配信
- 視聴者はコメントの投稿を通じて配信者とコミュニケーションを取れる
- 複数人で同時に配信するコラボ配信機能
- 顔認証によるフェイススタンプ機能
また、課金システムは次のようになっています。
- アプリストア経由でのコイン課金によって、配信者にプレゼントを贈れる
- 配信者は贈られたプレゼントをダイヤモンド(ポイント)として貯めたのち、PayPalを通じて換金することができる
新機能として「ゲーム実況」も開始しており、これもアメリカでのゲーム配信市場を踏まえてでしょう。
Live.meのビジネスモデル
芸能人コラボや、料理動画、音楽動画など、あらゆる企業とコラボしたマネタイズはあまり行われていませんでしたが・・・
キングソフトが日本展開を担い、日本においては色々なビジネスモデルが構築されつつあります。
投げ銭
これは、もともとのマネタイズの仕組みです。
気に入った動画の投稿者に課金式でプレゼントを贈ることができます。
特に目新しい方法ではありません。
視聴者参加型クイズ「Quizbiz(クイズビズ)」
公式チャンネルの司会者から出題されるクイズに全問正解すると、 正解者で賞金を山分けできる視聴者参加型のクイズゲームてす。
こちらは、すでにアメリカと中国では大変な人気となっています。
芸能人とのコラボ(日本)
タレントの最上もがさん、舟山久美子さん、鈴木奈々さんなどのレギュラー生配信をスタートしています。
Live.meならではの特長を活かし、視聴者とのコミュニケーションを図り、視聴者のダイレクトな声に応え、視聴者と繋がり、ミーティングのプラットフォームとすることがテーマとなっています。
企業とのコラボ(日本)
今年、KDDI、テレビ朝日の共同企画「イケメン通販騎士(ナイト)」のライブコマース配信にLive.meがプラットフォームを提供しました。
16点以上の商品をKDDIが運営する総合ショッピングモール「Wowma!」で販売し、ライブ配信アプリ「Live.me」にてライブコマースを実施という方法です。
テレビ朝日、KDDIは商品が売れ、Live.meはアプリのダウンロード数が増えるという、双方win-winなビジネスモデルです。
オーデション(日本)
オーデションにも力を入れています。
- 「九州女子翼(きゅうしゅう じょしよく)オーディション」を福岡の芸能プロダクション「ITR entertainmant」と合同企画
- 「福岡スカウトサマー 2017」 を「ITRentertainment」、 「オフィス・ノアール」「J-ONE」と3社の合同のスカウト企画。
- ボーイズグループ「SOUL9(ソウルナイン)」 オーディションを、日本コロムビア、 ITR entertainmentと合同企画
デビュー時点で、すでにファンが一定数ついており、こちらも双方win-winなビジネスモデルです。
おまけ Patreon(パトレオン)
Patreonは、ユーチューバー、ポッドキャスター、小説家といったクリエイターが登録し、ファンが彼らの「パトロン」となることで活動を継続するための資金を集めることを可能にするプラットフォームです。
「このプロジェクトは応援したい」と出資するKickstarterと似たものに見えますが、特定のクリエイターについて「次の曲や絵を応援する」という意味合いが強いです。
たとえば、絵師のSakimiChan氏は、3700人強のパトロンがついていて、2週間ごとに3万923ドル8セント(約384万円)を受け取っています。
「人に投資」する新しい仕組みができることで、アーティストや芸能人、スポーツ選手、作家など、メディアの向こう側にいた人々とファンの距離感はどんどん近づいています。
パトロンとして直接応援することで得られる一体感は、今まで以上の満足を与えてくれるでしょう。
ちなみに、日本国内でもスマートフォンを利用して簡単にクラウドファンディングのキャンペーンを設定できるサービス「polca.jp」が存在しており、バースデーパーティーを開くといった小さなプロジェクトから、アーティストの活動を支えるプロジェクトなどに活用されています。