最近は多くの動画配信サービスが存在します。それらのビジネスモデルはどうなっているか?を調査しました。
動画配信ビジネスは、大きく分けて、4つに分類されます。
- 広告収益モデル中心のユーザ投稿型無料サイト運営
- コンテンツ仕入れやシステム投資を伴う有料動画VODサイト運営
- 動画配信プラットフォームを利用した特殊/特定ユーザ向け有料動画サイト運営
- 個人利用を中心としたSNSサービス内などでの動画メディアとしての利用
ますは、横軸が無料モデル(オープン性が高い)から有料モデル(クローズ性が高い)、縦軸でブロードキャスト(大量配信)からユニキャスト(特定単一配信)でマッピングしてみました。
[引用] http://www.d2c-smile.com/201408182883
この中で、代表的な動画配信プラットフォームの規模感をまとめておきます。
サービス | 利用者数 | 利用者層 |
---|---|---|
2,700万人 | 20代~40代 男女 | |
4,000万人 | 10代~20代 男女 | |
LINE LIVE | 6,500万人以上 | 10代~50代 男女 |
1,600万人 | 20代女性 | |
ニコニコ生放送 | 6,210万人 | 20代男性 |
ツイキャス | 1,800万人以上 | 10~20代女性 |
YouTube Live | 約5,500万人 | 10代~40代男女 |
次のような各種ソーシャルメディアがLIVE動画配信を取り入れた事で、ユーザーのハードルが下がり、LIVE動画配信も私たちにとって身近になったのが2017年の特徴でした。
では、ここからいくつかのサービスの収益モデルをまとめます。今回はYoutubeです。
Youtubeのビジネスモデル
Googleは2006年10月に、動画共有サイトYouTubeを16.5億ドルの株式交換で買収すると発表しました。
オンライン・ビデオ市場において圧倒的なアクセスを集めているとはいえ、YouTubeはビジネスとしては成り立っていませんでした。
社員数約70名、売上はほぼゼロ、著作権侵害コンテンツについて批判を受けることも多かったサービスが今ではGoogle事業を支えています。
Googleは2009年第2四半期決算の記者会見において「黒字に向かっている」と説明しており、この時点では赤字と考えることができます。
しかし、2015年第2四半期の決算ではは「主力の検索事業のほか、モバイル検索が好調であり、さらにYouTubeやプログラマティック広告の成長」とYouTubeでの広告収入増も言及されました。
2015年の時点でYouTubeには次のような規模に成長しています。
- 月間10億人が訪れる
- 1分間に約300時間分の動画がアップロードされている
- 75 か国、61 の言語にローカライズされている
- 全世界での1日あたりの動画視聴時間は数億時間、視聴回数は数十億回である
- 平均視聴時間は昨年比50%増の40分以上である
そして、2017年時点のYoutubeのビジネスモデルをまとめると次のような形になります。
[引用]https://nook.blue/?p=1541
広告収入
誰もが知っているが広告収入です。
当初は難しいと考えられてきた広告収入
今では広告収入が収益の柱であることは誰もが信じて疑がいませんが、2006年の時点では広告ビジネスでの成功は難しいと考えられていました。
理由は、広告主に魅力的なものとするための材料がYouTubeにあるかどうか、疑問に感じられていたためです。
要するに素人のビデオがほとんどなので、それを見にくる人達にどれほど有効な広告が打てるか?という懸念です。
確かにGoogleのサーチだと、かなり詳細なキーワード・サーチなどに対して、焦点を当てた安価な広告が打てるため、小規模企業も広告を打つことができ、いままでになかったようなビジネスモデルが出来上がりました。
また、ビデオコンテンツをユーザーが満足いく通信速度で提供するためには、それなりのコストがかかることも懸念材料でした。
一説によると、2006年当時ですらYouTubeは通信費用だけでも月に30万から40万ドル(約3500から4500万円)かかると言われていました。
このため、YouTubeはGoogleと同じ手法ではうまくいかないと考えられていました。
ただし、多くの人が集まれば、インターネットではなんらかのビジネスになります。
広告収入は、単価が低く、莫大なユーザー数を必要とするため、安定した収益化までに時間がかかりますが、Youtubeは確実にユーザー数を増やしコンテンツの質の強化を行うことで黒字化を成し遂げました。
現在の広告収入モデル
クリエイターからの目線:
1再生あたりの収益には大きく幅があり「0.04円~0.24円」くらいです。
平均で考えると1再生あたり0.14円くらいなりますが、SkipできないCMが多く流れるYouTuberは1再生あたりの単価が
高め等、広告内容に依存します。
クリエイターとしては質の高いコンテンツを提供するだけではダメで、次のようなスキルが必要になります。
- 面白い動画を考える企画力(視聴者目線で常に物事を考える)
- ファンのターゲティング(ペルソナの設定)
- キャラ設定、ありのままでいけるならそれが良い
- 動画編集スキル
- キーワーディングスキル
企業からの目線:
素人のビデオに広告を掲載する企業が増えているのはなぜなのでしょうか。考えられる理由を、3つ紹介します。
- 低単価低リスクで広告出稿が可能
- 指定したユーザーにアプローチできる
- 人の目に触れる機会が多いということ
YouTubeの広告はユーザーが誰で、どこに住んでいるか、何に興味があるかなどに基づき、ターゲットを絞り込むことができます。
例えば、東京都在住の 18~34 歳の男性や、旅行に興味がある女性に広告を表示するなどを設定することができます。
また、TVCMを流すには最低でも数百万円は必要になりますが、YouTube広告を流すことは、数十円からでもできます。
企業チャンネル
NBCやワーナーなどのメディアがYouTube内に企業チャンネルを設けました。
企業アカウント・チャンネルは手順に従って進めば、簡単に作成することができます。
- 【手順1】Googleアカウントを取得する
- 【手順2】YouTubeにログインし「チャンネルを作成」を選択
- 【手順3】「ブランドチャンネル」を作成
- 【手順4】チャンネル設計をする
公式チャンネルの登録が完了したら、作成したチャンネルに動画コンテンツを投稿し、自社のサービスや商品をプロモーションします。
企業チャンネルの運用にはどの程度の費用が必要なのでしょうか。
- ■ブランドチャンネルの利用は無料
- ■一般ユーザーとの区別はない
- ■「公式ブランドチャンネル」の存在
「公式ブランドチャンネル」は、通常のブランドチャンネルとは別に、一部の大手企業などが開設できるチャンネルです。
価格は次のようになっています。
YouTube 全般: YouTubeに 90 日間掲載する場合、5 万米ドル (または 500 万円) 以上。
YouTube ブランド チャネル: YouTube ブランド チャンネル: YouTube のみに掲載する場合、20 万米ドル (または 2,000 万円) 以上。
YouTube コンテスト: YouTube のみに掲載する場合、50 万米ドル (または 5,000 万円) 以上。
YouTube Homepage Roadblock: 1 日あたり 17 万 5 千米ドル (または 1,750 万円) の固定料金 + Google および YouTube への 90 日間の掲載料金 5 万米ドル (または 500 万円) (合計 22 万 5 千米ドル、または 2,250 万円以上)。
YouTube Red
月額9.99ドルを払えば、広告を表示することなく動画を視聴できるサービスです。
その他、ユーザには次のようなメリットがあります。
- ダウンロードしてオフライン視聴が可能
- バックグラウンド音楽として再生可能
- YouTube?Music (旧You Tube?Music Key)が無料
- Google Play Musicが無料
YouTubeのユーザーを増やす=収益増=ユーチューバーを増やす
面白い動画が増えれば、視聴者は増えます。
そのために、動画を増やしてくれるユーチューバーを増やすことにYouTubeは注力しました。
そこで、まずは閲覧数の多いユーチューバー数名と「YouTubeパートナープログラム」を開始しました。
最初は商業コンテンツをもつユーチューバーのみを対象に広告を提供していきました。
つぎに、TVCMでユーチューバーの存在を有名にしていきました。
ユーチューバーは基本一般の人で、芸能人ではありません。
つまり、ユーザーにとっては身近な存在です。
その身近な存在がTVCMにでることで、
「自分もそうなりたい」
「頑張れば自分でも有名になれるのかもしれない」
と一種の「成功像」が見えるようになり、面白い動画を真似て投稿するようになりました。
YouTube TV
YouTube TVというサービスは、放映時間にとらわれることなく、50近い地上波の番組を視聴できるビデオ・オンデマンドサービスです。
YouTube TVは月額35ドルです。
視聴者ファンディング
「自由意志で」お金を払って支援できる機能です。
- 100円
- 500円
- 任意の3種類
から金額を決めるウィンドウが表れます。
金額は受取人だけが確認でき、払い戻しはされません。応援すると同時に応援メッセージを入力できます。
横には支援したことを知らせる特別なバッジが付きます。これも金額は公開されません。
なお決済には視聴者とYouTube チャンネルともにGoogle ウォレットを使用します。
国ごとの手数料は:
- 日本: 22円 + 5%
- 米国: 0.21 米ドル + 5%
- メキシコ: 2.70 メキシコペソ + 5%
- オーストラリア: 0.23 豪ドル + 5%
例として10 USドルの場合、0.21 + (5% x 10) = 0.71 USドルが手数料として引かれます。
100円の場合は 22 + (5% x 100) = 27円。
なおチャンネル側が支援を受けるには、いくつかの条件を満たした上で、事前にチャンネル設定内の視聴者ファンディング機能を有効にする必要があります。
まとめ
広告ビジネスだけでなく、多くのビジネスモデルをすでに確立しているようです。
始まったばかりのビジネスも多く今後どうなるか分からないが、YouTubeのビジネスモデルは多くの同業他社が分析対象にしていることは間違いないでしょう。