七草粥と、かけまして、
魚市場と、ときます。
そのこころは、
どちらもセリ(競り)があるでしょう。
改めまして、明けましておめとうございます~~~!!
そんな気分でいたのに……もう仕事始めだよ 糞
人日の節句(1月7日)の朝に食べられている日本の行事食(料理)として
七草がゆ
というものがある。
ぶっちゃけ「七草がゆ」って食べてる?
正月早々 焼肉や寿司を食べて過ごす人がいる時代に、料理の欧米化も進んで食べていないのでは?
と思って2017年のアンケート結果を見ると
40%以上の家庭では食べている
らしい。予想に反して高かった……。
【調査】LiNS アンケート(実施期間 / 2017年1月12日~1月19日)
だったら少し日本の行事に触れてみるか……。
ただ、ググったら多くの人が同じことを書いていたので新規性はない。
春の七草は食用
「七草」は1362年頃に書かれた南北朝時代に成立した「源氏物語」の注釈書「河海抄」に薺・芹など現代と同じ七草の記述が見える。
芹、なづな、御行、はこべら、仏座、すずな、すずしろ、これぞ七種
中国の南朝、梁(502~557)の宗懍の、「荊楚歳時記」に、次のようにあるのが最初で、中国から日本に伝わった風習だ。
正月七日を人日となし、七種の菜をもって羹をつくる
※「羹」は「あつもの」と読み、「熱い物」の意味で、野菜を煮た吸物を指す
なお、それぞれの草には意味も効果もある。
名前 | 意味 | 効用 |
---|---|---|
芹 | 競争に競り勝つ | 解熱効果、胃を丈夫にする効果、整腸作用、利尿作用、食欲増進、血圧降下作用など |
薺 | 撫でて汚れをとり除く | 利尿作用、解毒作用、止血作用、胃腸障害やむくみにも効果 |
御形 | 人形や仏体 | 痰や咳に効果。のどの痛みもやわらげる |
繁縷 | 繁栄がはびこる | 腹痛薬、胃炎。歯槽膿漏にも効果 |
仏の座 | 仏の安座 | 胃を健康にし、食欲増進、歯痛にも効果 |
菘 | 神を呼ぶための鈴 | 胃腸を整え、消化を促進。しもやけやそばかすにも効果 |
蘿蔔 | けがれの無い清白 | 風邪予防や美肌効果 |
春の七草の一つ「ハコベラ」はヒヨコグサとも呼ばれる。在来種「ミドリハコベ」を指しているが最近は見かけない。
「ホトケノザ」は「小鬼田平子」とされている(オオバコの絵を書く書物等もあり)。最近は ほとんどが「オニタビラコ」しか見かけない。
秋の七草は観賞用
「秋の七草」は、山上憶良の「万葉集」に掲載された和歌で普及した。
秋の野に 咲きたる花を
指折り
かき数ふれば
七種の花萩の花 尾花葛花 撫子の花
女郎花 また藤袴
朝貌の花
- 1.萩
- 2.尾花 → 薄
- 3.葛花 → 葛
- 4.撫子
- 5.女郎花
- 6.藤袴
- 7.朝貌 → 桔梗
「尾花」は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という諺どおり「ススキ」のこと。
「朝顔」は万葉の時代に日本に自生していた花で秋に目を引く花として、「昼顔」「木槿」「桔梗」などが候補としてあげられている。
その中で「キキョウ」が有力とされる理由は、日本最古の漢和辞典「新撰字鏡」の「桔梗」の説明に「阿佐加保」と書かれているため。
新撰字鏡 下 (羣書類從 ; 巻第497(雜部52))
あらためてWikipediaから抜粋すると次のようにまとまる。
幼稚園で「秋の七草のうた」を学んだ人もいるはず。
秋の七草、美しい 色とりどりに美しい
背高のっぽの おみなえし 萩 葛 桔梗 藤袴
かくれんぼうの 撫子さん すすきがみんなを呼んでいる
秋の七草、美しい 色とりどりに美しい
夏の七草は戦時中の食べれる野草
夏の七草は古事に基づくものは見られず、昭和になって選定したものが発表されている。
- 昭和のはじめ頃に、勧修寺 経雄という議員が詠んだ短歌
- 1945年6月20日第2次世界大戦中。「日本学術振興会学術部・野生植物活用研究小委員会」が選定
勧修寺氏が詠んだ短歌は次のとおり。
涼しさは よし い おもだか ひつじぐさ はちす かわほね さぎそうの花
戦時中の夏の七草は、昭和20年6月20日発行の「週報」(四四七・八号)に「新選・夏の七草」というタイトルで発表された。
全国的に何処にでもある極めて普通な夏の野草で、しかも量の多い種類七つを選び、これを春の七草や秋の七草の例に傚ひ、あらたに「夏の七草」といふ名をつけて、一般にその食用をお薦めすることに致しました。
「救荒食物・救荒食(飢饉や災害、戦争に備えて備蓄、利用される代用食物)」としての役割を持つ。
- 1.藜
- 2.猪子槌
- 3.莧
- 4.滑莧
- 5.白詰草
- 6.姫女菀
- 7.露草
特に覚えるべき内容じゃない。
冬の七草は運が倍になる食材
冬の七草については諸説あって明確な物はない。
一つ見つけたのは「運が倍になる」ということで、「ん」が2つ付くものが選ばれているらしい。
- 1.南瓜(なんきん)(カボチャ)
- 2.蓮根(れんこん)
- 3.人参(にんじん)
- 4.銀杏(ぎんなん)
- 5.金柑(きんかん)
- 6.寒天(かんてん)
- 7.饂飩(うんどん)(うどん)
うどん=小麦粉ということで草扱いなのかな。
「冬の七草」だけソースが曖昧だ。
多くのブログでは「冬至にかぼちゃを食べる習慣は江戸時代中期から」と書いてあるが、
江戸時代の文献には「冬至にかぼちゃ」という内容の記述は見つからない
証拠を出せよww
異説として「ん」のつく食べ物だとして、なんきん(カボチャ)・れんこん・うどん等をあげる説もあるが、江戸時代の記録になく明治時代以降の風習とされる
【引用】新谷尚紀著『日本の「行事」と「食」のしきたり』青春出版社 p.74 2004年
なお、なぜ冬至の日にこのような縁起をかつぐかというと、冬至は1年でもっとも日が短い「一陽来復」の日とされており、それ以後は日が長くなり運が上昇し始めるという点から。
おわりに
あるサイトが嘘を書くことにより、その嘘が伝染してしまっているのが現代のネット事情だ。
ソース(出典)がないサイトは筆者の感想でしかない。
春夏秋冬の七草は、定義された時期も背景も全く異なるものだった。
【2023.1.7更新】
春の七草を夕方購入しに行くと、どの店も生野草は売り切れ……
これしか売ってなかった(泣